栄華を誇ったにしん御殿:小樽

2021.03.25 にしん御殿

北海道にも春の足音がだんだんと近づき、長かった冬も終わりを迎えています。
この時期にスーパーにたくさん並ぶニシンは、「春告魚」という別名もあり
私たちに春の訪れを教えてくれます。
(北海道では当たり前のように春告魚=ニシンですが、本州などでは
春告魚はメバルのことを指すんだとか!)

ニシンと言えば石狩湾・小樽を思い浮かべる方も多いはず。
今回はそんなニシンと関係が深い、ある建造物をご紹介します。
「小樽貴賓館・旧青山別邸」です。

かつての北海道はニシン漁がたいへん盛んで、1897年には100万トン近い漁獲量を誇りました。
「旧青山別邸」は、ニシン漁が全盛期だった頃に建設が始められ、およそ7年の年月をかけて
青山家が建てたもので、ニシン漁で財を成したことに由来し別名「にしん御殿」と呼ばれています。

1958年には現在の場所へ移され、2010年には国の登録有形文化財に指定されました。
総面積はおよそ185坪。北海道産の原木や、ヒノキなどが惜しげもなく使われ、莫大な建築費が
つぎ込まれたそうです。北海道では珍しい瓦の屋根で、軒下は全て手彫り。
そして、内装も非常に豪華で、一級の美術品が至る所にあるのです。
春から秋にかけては見学可能なので、美術品や細部までこだわった
内装、外装の美しさを、ぜひ堪能してみてください。

当時はニシン漁で財を成した漁師も多くいたほど賑わいがありましたが、
次第に漁獲量は減り続け、1955年以降、一時は幻の魚とまで言われるほどになってしまいました。
その後、1996年に石狩振興局が稚魚を放流するなど、最近では徐々に水揚げ量は増えているようです。

そんな小樽を含めた石狩湾のニシンの旬は、1月下旬~5月まで。
にしん御殿から渡り廊下でつながっている、小樽貴賓館にはニシンを使った料理が有名な
レストランもあり、味覚でもニシンを楽しむことができます。
中でも「ニシンそば」が人気なんだとか。
小樽貴賓館以外にも、ニシンを楽しめるスポットはたくさんあるので、
今が旬のおいしいニシンを味わってみてはいかが。